天使なヤツとバレンタイン

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 寒い寒い夜のこと――。 「ウーン。鴨志田のヤツ、逃げやがったなっ!」  私は一人、夜景の見える階段に腰を下ろして鴨志田くんを待っていた。鴨志田くんはモテない、モテない、モテない……。  ムカつくほど……モテない。  だからさぁ。絶対、絶対、ぜぇったい、私以外チョコなんてあげないって思ってる。  手作りチョコなんて、もっと、もっと、もぉっと……縁がないって思ってる。 「残念やなぁ。お前、ホンマに残念やわ」 「えっ?」  聞き覚えのない関西弁。振り返れば背中に白い羽根のある天使なヤツ。
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