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赤い何かが閃いた。その赤が何によるものなのか私に判別する余裕はなかった。
ただ自分でもびっくりするけれど、その何かも判別できない何かが私に向かって光如く飛来する
であろうことだけは見てとることができた。
途端に何が起こったのか。つい今さっきまで自分の部屋でくつろいでいたはずの私の眼の前で何が起きているのか。そんなことを考える余裕はなかった。
頭で話は何も考えず、ただ体が自然に反応した。
何だか判別できない何が私の頭部めがけて飛来する。
光速の閃光。一凪の一閃。
私はそれを後ろに大きく飛び退くことで間一髪でかわした。
大きく、目測五メートルほどは後方にひとっ飛びで。
「戦いの最中にボーッとするとは、案外余裕ありげじゃねぇか。」
何が何だかわかっていない私に対して遥か前方から声がする。
今私に向かって放たれた赤い一閃の元であろう血のように赤い槍を肩にかけ、それと対照的な青い装いに身を包む男。
ひょろりと長くもしっかりと鍛え上げられた、まるで戦士のような男だった。
その男は私に向けてニヒルな笑みを浮かべる。
「それにしたって気にくわねぇ。戦いの火蓋はとっくに開かれたってのに、武器は持たねぇわボーッとするわ。てめぇは一体何なんだ。」
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