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ダメだ。話が繋がらない。話が通じてない。いや、私が通じてない?
彼の言ってることに全く心当たりがない。
だって私はさっきまで自分の部屋で寝転んでいたはずなんだから!
「まぁいい。お前が武器も持たずにそのまま突っ立っていたいってんなら構わねぇ。後ろで同じく惚けてるお前のマスターごと、串刺しにしてやるよ!」
後ろにいるマスター?
男の言葉を確かめるために後ろを振り返ろうとした私だけれど、そんな私をよそに男は途端に駆け出した。
それはもう人の域を超えた速さだった。
残像が見えるほど、というのは少し大げさな表現だけれど、そう表現したくなる程の俊足だった。
見ない。はずなのに見える。
具体的に言えば反応ができた。
私程度の普通の人間の動体視力や反射神経で対応なんて出来るはずがないスピードに、何故か私は反応することができた。
再び繰り出される赤い槍の一撃をまた後ろへの跳躍でかわし、大きなジャンプなのにも関わらず私は優雅に着地する。そして──────
「ゆ……ま……?」
私が着地したすぐ隣にいた玲弥お兄ちゃんとしっかりと目が合った。
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