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あの男の目は今まで私が見たことのない目をしている。
単純に言って人殺しの目。いや、人を殺すことに慣れている人の目。それを必要な作業としてこなせる人の目。そして、それがどういうことなのかわかっている目だった。
戦士の目。戦いの世界にいる人の目。私とはあまりにもかけ離れた世界。
そんな人を相手取るなんて私にはできない。
できないけれど、でも、でも……!
「なんとか、するしかないんでしょうッッッ……!!!」
泣き言なんて言っていたって何も始まらない。
ただあの赤い槍に一突きにさらるだけ。
私たちなんてなんの存在感もなくあっという間に串刺しになる。
そんなこと看過できない。だって玲弥お兄ちゃんがいるんだから。
「玲弥お兄ちゃんは死なせないッ!」
どうにかなれ! 何とかなれ!
私が今普通じゃないことはわかってる。
あれだけの大跳躍ができる身体能力のある今の私ならきっと何か戦う術があるはず。
そう信じてる。
だから何とかなって。私を、私たちを、玲弥お兄ちゃんを助けて──────!
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