No.10 [2016/01/19]

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----- 2016/01/14 -------------------- 冷蔵庫の中に満員電車のようにキャベツが詰まっている。 お腹も空いたので、水洗いして塩で揉み、胡麻を振って、かじった。 みずみずしくて非常に良いキャベツだ。 しかしなぜ我が家の冷蔵庫に入っているのか。 わずかばかり時間が経つとすぐに腹が減った。 さすがキャベツ、消化が速い。 まだまだ冷蔵庫に詰まっているキャベツを取り出す。 千切りにしドレッシングをかけて口にかき込んだ。 昼寝をしていると、やはり腹が減った。 一向に減る気配のないキャベツの山から一つ取り出し。 今度はフライパンで焼いて食べてみた。 キャベツだけを食っていると人はどうなるのだろうか。 考えていると腹が減った。 キャベツを茹で、コンソメスープの具にしてみた。 体が温まった。 冷蔵庫のキャベツは減らない。 数を数えて見ようか。 一つ二つ、三つ四つ。 どうにも減っているように見えない。 二十個ぐらい取り出しすと、冷蔵庫の奥に穴を見つけた。 冷蔵庫の裏はなんともない。 どこにつながっている穴なのか。 この穴からキャベツが転がり出てきているようだ。 さらにキャベツを引っ張りだし、穴の中を調べることにした。 ----- 2016/01/15 -------------------- 財布をポケットに突っ込んで外に出た。 ふぅと一息ついて近所のスーパーへ。 カゴを手に取り軽く思案。 ちょっとした思いつき。 豚肉のパック(一人分の少量)をカゴへ。 生姜焼きのタレも。 お菓子を横目にレジへ。 レジに立つ一人の女性に目がとまる。 細身のポニーテール、ちょっと茶色に染めた童顔の女の子。 当然、その子のレジへ。 何の気ない振りをしながら、ちらりちらりと見てしまう。 代金を渡し、お釣りを貰う。 手と手が触れたりはしない。 「ありがとうございました」と言われ、少し顔がほころぶ。 袋に買ったものを詰めながら、次の客の相手をする女の子を見る。 ふぅと一息つき、仕事に戻った。
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