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阿部《あべ》春奈《はるな》編

「どんなに彼氏のことが好きでも
どんなに一生一緒にいたいって思っても
その家族と気持ちよく付き合えないならさ
春奈は苦労を背負いこむことになるよ」

「そうなんだろうね････。
まさかお母さんと決別してとも言えないし」

「お父さんは？いないの？」

「生きてはいるらしいよ。
修ちゃんが小学生の時に離婚したって」

「そっちで面倒見てくれないかねぇ」

「ダメよ。訊いたら再婚されてるって」

「訊いたの？春奈もお父さんにお母さんを
引き取って欲しいって思ってたんじゃん」

「･････ふふ。バレた？」

やっと春奈の顔に笑顔が戻った。

「キッパリと修ちゃんを諦めるか
それとも私が諦めてお母さんに従うか」

「どっちも嫌なんでしょ？」

「うん･････。できればさ、
修ちゃんがお母さんじゃなくて
私の方を選んでくれないかなって････」

「まあ･････。
話を聞く限りじゃあ無理そうだな」

「はぁ････」

もの凄く長いため息だった。