阿部《あべ》春奈《はるな》編

13/62
前へ
/3000ページ
次へ
「じゃあさ、夕ご飯がだめなら 休みの日のランチに誘えば?」 項垂れている春奈の身体を 小杉が起こしながら言ってきた。 「ランチ?・・・・・・そうか」 「そうだよ。別に夕ご飯に拘らなくても。 ランチにさ、春奈の手料理を振舞って 彼氏の胃袋を鷲掴みしちゃいなよ」 「・・・・・・ダメ。 お母さんのお料理は天下一なんだって」 もっともっと落ち込んで行く春奈。 「・・・・・・・料理上手なのか。 そうだよね。だから息子も嫌がらずに お母さんと毎日一緒に食べるって言うのか」 納得顔で肯く小杉。 「でもさ、お母さんでも これだけは無理って言う料理はないの?」 「うーん。 結構なんでも作るらしいしなぁ。 しいて言えば・・・・パンぐらいかな?」 「パン?」 「うん。パンだけは 美味しいパン屋さんからお取り寄せしてるって」 「パンか・・・・・」 今度は小杉が何かを考え始めた。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3016人が本棚に入れています
本棚に追加