阿部《あべ》春奈《はるな》編

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オーブンの横にある網棚の上には 焼かれたばかりと思われるパンが並んでいる。 食パンだったり 丸い筒型のパンだったり。 中でも丸い小さいパンが とりわけたくさん焼かれていた。 「どれがいいかな? どれでもお好きなものをどうぞ」 春奈も亜美のあとをついて行くと 後ろに振り返って訊いてくれるから 「この丸パンがいいです!」 「ハイどうぞ。 何かつけて食べる?」 網棚の一番手前のパンを 春奈の手に乗せてくれた。 手に持った瞬間の温もり。 そこから小麦のいいニオイも。 「このままで。いただきまーす」 パクリとひと口頬張ると 柔らかな食感だってすぐ理解できる。 ふんわりと噛みしめると ほのかに甘さが口の中に広がった。
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