阿部《あべ》春奈《はるな》編

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「美味しぃ!それにふわふわ!!」 一口食べただけですぐに感想が言いたい。 その衝動に駆られるほどの驚き。 びっくりするほどの柔らかさ。 ほんの少しだけ 指に力を入れただけでへこむくらい。 「ありがとう。焼きたては格別よね。 いつでも焼きたてを食べたいのが本音ね」 ふふふ、って嬉しそうな亜美に 「私の彼氏も、こういうシンプルな パンばかりを食べたがるんです。 でも自分が思うパンには巡り合えないのか 新しく見つけたパン屋のを食べても 浮かない顔をするんですよね」 かじったパンを見つめたまま 春奈が説明をすると 「あなたの彼氏さんには 思い出深いパンがあるのね。 そのパンのことを詳しく訊いたことある?」 どうぞ、と 作業台に丸い木のイスを置いてくれた。
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