阿部《あべ》春奈《はるな》編

6/62
前へ
/3000ページ
次へ
「指輪をしてるってことはさ 結婚が決まったってことでしょ?」 隣りに座った小杉が 春奈の左手を持ち上げる。 「うん。プロポーズをしてもらったし 私もそれを受けたんだけどさ・・・。 今はちょっと考えちゃってる」 左手にハメた指輪を抜き取って 顔の前で光にかざしたりして言うと 「マリッジブルーとは違うって事? 何か、結婚するには不安があるの?」 「・・・・・・・・うん」 戸惑いながらも、肯いた。 ここのところずっと 自分にまとっていた不安の理由を 今ここで、はっきりと認めたってことだ。 「・・・・・・・・・・」 真意を窺おうとしているのか 小杉は何も答えずだが じっと春奈の表情を読み取るように 目を逸らすことをしない。
/3000ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3016人が本棚に入れています
本棚に追加