上空7000mのおいかけっこ

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目映く輝く満月がいつもより近くで、そして綺麗に見えます。 のんびりと夜空を見上げていたいなーなんて思ってもそうはいかないので視線を下へと下ろすと、連なっていたり点々としていたりとした光が白っぽいモヤの向こう側に見えた。 すっかり深夜、日付がもうじき変わるという時間帯だというのに多くの人たちはまだ外を彷徨いていたりしているのだろうか。早く寝ろ、夜更かしは体に悪いんだぞ? とまぁそんな事を言っている俺、真代 扇(ましろおうぎ)もまた、深夜にお外にいるんですけどね。正確にどこにいるかって言うと――、 〈しゃっ、しゃぶいーーっ!!〉 ――月の下、雲の上。つまり、空にいたりします。 「夏でもやっぱり上の方は寒いんだなー。甚平じゃあちょっとキツい気もするよ」 〈なんで空飛んでいくのー!?しゃぶいーー!!〉 甚平の内側、胸元にしがみついているロングの髪は深緑、身に付けてるのは真っ赤なビキニ、背中にはトンボのような半透明の羽根が生えた妖精シュリンは不満を叫んだ。 「いやーこの前勇者パーティーと戦った時にすげー腕が鈍っててさぁ。普段使わないでかい魔力も今一しっくりくる感じがしなかったから、慣らし的な?」 〈『ロック』かけてるんだからしっくりくるはずないよぉ。今がベストな状態としてキープされてるんだから、無理矢理おーきい魔力使ったら違和感感じるのはとーぜん!〉
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