第1章

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周りの人間を見ていて思ったことがある。 奴らの関係は上っ面だ。 話の途中で携帯通信端末を取り出したり、位置が離れただけで連絡をしなくなったり、簡単に裏切ったり。 まるで仲が良いような演技をしていて、その演技に自己満足しているように見えた。 けれど、今俺がそんなものを見なくて済むようになった。見ていて気持ちが悪いものを視界に入れなくていいのだ。 奇病。 医師はそう言った。今までに見た事がない症例だと。 自分が特別だからと浮き足立つような幼稚な性格なんてしていない。病気になったと悲劇の主人公みたいに勘違いするような浮かれた性格なんてしていない。 どうでもよかった。寧ろ病気と診断されたことに怒りさえ覚えた。 まるで可哀想だと思わせたいようではないか。残念だねと言われろと言っているようではないか。それこそ悲劇の主人公になれと言われているようではないか。 同情なんているものか。そんなぬるま湯を肩から掛けられるようなものいらない。 俺には他人などいらない。
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