第5話 永遠の別れと絆

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思えばあのとき……。 テニスサークルに入部して来たとあを諭し、テニス部に入れたゆつきの判断は、やはり間違ってはいなかったのだ。 とあのことを重いと感じ、逃げるように切り捨てたけど、結果としてとあは世界的テニスプレーヤーになることが出来たのだから、これに関しても結果オーライだったと思っている。 だけどゆつきは、誰にもとあとの過去を言わなかったし、誰かとの会話の中でとあの名前が出るたびに、話を逸らすように努めた。 もちろん七美に対してもである。 ところが七美はゆつきがテニスをしていたことを知っているせいか、とあが段々と勝ち上がって行くと共に、やたらと話題にするようになり、そしてとあのことを簡単に調べて、ゆつきの高校の後輩であることをつきとめてしまった。 すると今度は、それまでゆつきがとあと面識があったことを黙っていたことに怒りだしてしまったので、言いくるめるのに苦労したのだ。 結局、知り合いなんだから、OB会に参加してサインを貰って来るように頼まれてしまった。 もちろんゆつきは二度ととあに会うつもりはないので、OB会には参加することはないけど……。
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