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「それじゃあ行くよ」
ゆかりが車を走らせる。
「あの、どこに行くんですか?」
ゆつきは前の二人に聞いた。
「えっ? 七美ちゃんから聞いてないの?」
翔子が振り返って聞いてくる。
「はい。サプライズなんだから、一々聞くなって怒られちゃって」
「翔子ちゃん教えなくていいよ」
七美が意地悪げに言った。
「ああ、じゃあ私が教えるのも申し訳ないから、着くまで内緒ね」
翔子も嬉しそうに笑う。
「もう、教えてくれたっていいのに」
ゆつきは何となく行先が分かっていたけど、話の流れに合わせた。
「じゃあゆかりちゃん。ブッチギリでね」
七美が声をあげる。
「ねぇ七美」
「何?」
「いや、あの、ゆかりさんと翔子さんのこと、ちゃんづけで呼んでるから」
「え? ゆかりちゃんと翔子ちゃんってこと?」
「うん。一応年上の先輩なんだし」
「もう何言ってんのよゆつちゃん」
「そうだよ。ゆつきちゃん。さんづけだと堅苦しいでしょ。ゆつきちゃんも、ちゃんづけで呼んでくれていいからね」
「はい」
そして目的地に着くまでの間は、ゆつきのいなかった七年間に会社で起きたことを話題にしてくれたから、頭の中で想像出来て、ゆつきにとってとても楽しい時間になった。
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