第1章

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「はぁ...」 何だか息をするのも苦しくて、私は大きなため息をついた。 今日は、2月14日。バレンタインデーだ。 私はチョコを両手に、階段に座りながら、幼馴染を待っていた。 二時間前から外にいるというのに、体は冷えるどころか約束の時間が近づくにつれ、暖かくなってくる感覚さえある。 吐いた息が白くなるのが、何よりの証拠だ。 「何だよ、人が来た早々にため息なんかついちゃって」 後ろから声がかけられる。急に体がとても熱くなるのを感じた。 持っているチョコが溶けてしまわないかと心配になる。 「...遅い」 うまく言葉が出てこない。 ため息を聞かれたのが恥ずかしくてつい悪態をついてしまう。 「20分くらい早く来てるのに、それはないだろ」 「うん、冗談。来てくれてありがと」 「お、おう」 「あの...これ、あげる」 「いいの?」 「うん、あんたのためだけに作ったチョコだもん」
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