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「お、来たのか。随分と早いな」
「楽しみになっちゃってさ。お邪魔しまーす」
坂本さんが「まだ上がれって言ってねぇだろ」と笑いながら辺りを見回す。すると一瞬、原部の頭上で目の動きが止まり、それからゆっくりと微笑んだ。
「……原部も来たんだな。今回も仕事たまってたから、前みたいに来ないかと思ってた」
「仕事、ちゃーんと終わらせてきたみたいですよ?」
森が説明しつつ、「お邪魔します」とスルリと中に入った。森はまだ門のところから動けずにいた原部を振り返ると、坂本さんの後ろで「早くしなさいよ」と猫のような仕草で手招きをする。坂本さんは彼女の言葉に驚いたように目を丸くし、それから再び微笑む。
「ほら、入れ。今日は遠慮なく飲んでいいから」
……それと、お疲れさま。
ポツリと、何気なく呟かれた言葉が嬉しい。何となく恥ずかしくなり、原部は少し俯いて「ありがとうございます」と呟いた。
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