――― 第一章 ―――

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――そうだ、幸せなんだ。 同僚や部下たちと楽しそうに話しながらビールを飲む坂本さんを見ながら、何故か胸がチクリと痛むのを感じた。僻んでいるわけではないのに、幸せな話を聞くのが辛い。 そこまで思って、――ここ最近、彼氏と上手くいっていないことを不意に思い出した。何が原因だとか、そういう具体的なものは無い。ただ何となく、上手くいっていないのだ。……最後にあったのは何ヶ月前だろうか。確か、喧嘩をしてその日は別れたはずだった。あの日以来、特に連絡も取っていない。 今までは週末の予定をお互いに言い合って、デートの予定を立てあったのに。一度思い出した嫌な思い出は、雪のように降り止むことを知らず、そして降り積もっていく。
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