――― 第一章 ―――

13/14
前へ
/17ページ
次へ
「これとこれと、……あー、あとは好きに使っていいから、野菜炒め作ってもらえるかな。あ、野菜室ここね」 「あ、はい」 野菜炒めか。しばらく作ってなかったなと、頭の端でボンヤリ考える。……そういえば、最近野菜すら食べていない。我ながら不健康だな、と自嘲気味に笑いながらキャベツに包丁を入れた時、「あーッ!」という声と同時に、ガッシャーンと何かが割れる音が響いた。 「どうした!」 坂本さんが焦ったようにキッチンを飛び出し、原部も驚きで固まる。リビングでは先輩が「ごーめん、割っちゃった」とバラバラに砕けたグラスを指差し、困ったように眉を垂らしていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加