――― 第一章 ―――
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「いいよ別に、そんな高いものでもなし。……って、」 あちゃー、飲み物残ってたのか。 参ったな、と呟きながら坂本さんがキッチンに戻る。原部がなにげなく差し出した布巾を取ると、「ありがとう」と微笑みながらリビングに戻っていく。「あーもう、気を付けろって」 その大きな背中を見ながら、原部は、彼が布巾を受け取る時に触れた指が熱をもっているのを感じていた。
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