――― 第一章 ―――

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* * * 「すごいですね、本当に終わらせるなんて」 飲み会に向かう途中の夜の道で、山口くんが原部を振り返って言った。その言葉に他の飲み会メンバー四、五人がこちらを見て、「え、終わらせたの?」と目を丸くする。原部の仕事が溜まっていたことは、同じ開発部の人達には知れ渡ったことだ。 「誘われたからには、キレイさっぱり終わらせて参加したかったので」 得意げにそう言うが、なぜあそこまで必死になって終わらせられたのか、原部自身にも良く分からなかった。 「なーんだ原部さん、やれば出来るじゃーん」と経理部の梅原先輩が笑顔で肩を叩く。
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