ふわふわり。2

天然彼女と優しい狼さん

「ふわりさん」

赤信号から青信号に変わり、ちゃんと運転をする姿勢になった彼のコートの袖を引っ張った。

「旅行、楽しみですね」

ヘラッと笑う締まりのない顔にも、ふわりさんは瞳だけをこちらに向けてしっかりと笑顔で応えてくれた。

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そして到着した旅行サロン。
利用するのは、ネットの口コミの評判でもひときわよかった旅行会社を選んでくれたふわりさんのおかげで、とにかく迷ってしまうくらい魅力的な企画が盛りだくさんのパンフレットがいっぱいだった。

「わっ！大自然の中、秘湯の露天風呂……こっちは雪見酒が体験できるんですって！あーっ！めちゃくちゃ豪華なお料理！どうしよう！めちゃくちゃ悩む！！」

大はしゃぎの私をふわりさんは隣でニコニコと笑って眺めている彼の手には、一枚のパンフレットが握られていた。