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ロコはオレンジの三つ編みをしきりにいじっていた。
つまらない、あぁつまらない。
身に覚えがありすぎる制服を着た少年の胸ぐらを掴んだ。
服も所々破れ、その隙間からは流血した切り傷や刺し傷が覗いていた。
そしてとうの本人は……
「や、やめ……」
息絶え絶え、戦えそうにない。
ほんっと……
「つまんねーのっ!!!!」
胸ぐらを掴んでいる逆の手に持っていたナイフで、思いっきりガキの喉を掻っ切った。
血飛沫が俺の顔にかかる。
ガキは人形のようにぐったりとしてしまった。
「はぁーあ……」
ガキを放り投げ、ナイフを義足に戻す。
学園内に来てみたはどうだ?
目当てのものは見つからないし、やたら邪魔な奴らが攻撃してくるし……
……でも邪魔者でも道化ぐらいはできるだろう?
ここに来るまで、何人かに俺の能力を植え付けた。
『あいつらは君の味方だ、何もしないよ?』
耳元で囁くと、仲間に問答無用で襲い掛かる、面白い道化だろう?
でも俺が求めてるのは、こんな道化じゃない。
「あぁぁ~~、千里ぃ~~~……」
思わず立ちながら両手で体を抑えつつ、身悶えしてしまった。
今すぐにでもあの愛おしい彼女を拝みたい。
整った薄桃の長い髪、大きく真っ直ぐな瞳、ツンツンした性格……兎に角、千里の全てが愛おしい。
前回なんて後ろ姿しか拝めなかったし、前回は……
身悶えが一瞬にして止まった。
「……あのさぁ、タイミング読んでるのお前?」
眼帯の下の右目が疼いた。
振り返った先にいたのは、緑のロングマフラーにピンクのメッシュの髪をしたガキ……矢射千里の弟、矢射三介だった。
「久しぶりです、ロコ」
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