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▽
「久しぶりー、三介。」
ロコの口角が不気味に吊り上がる。
思わず身構える。
周りに倒れている仲間、ロコに付いている血痕を見る限り、ロコがやったのが一目瞭然だった。
それに……
「来る途中で、仲間に襲われた。」
「そー、それは災難だったなー、お前のこと嫌いなんじゃないの?」
「あなたの仕業だろ。」
声に力が入る。
「……だから?」
にやけたまま僕を見つめるロコ。
ただ、瞳は淀み笑ってなどいなかった。
……”こいつ”はこういう奴なんだ。
誰がどんなことになろうと、自分が面白ければそれでいい。
そして、姉さんがいれば……
「あなたは、僕の仲間を傷つけた。
それだけで充分な動機だ。」
「殺すのか、俺を?」
「……」
「……お前のそーゆーとこ、昔っから変わんないの、なぁっ!!!」
言葉と共にロコが駆け出す。
そしてガシャンという音がし、巻きスカートを翻し右の義足が一気に開花したかと思うと、見えたのは鈍い光を放つナイフだった。
そのナイフが閃光を放つ、その軌道の先は……
「!!!!」
キィンと金属音が鳴り響く。
僕はロコのナイフを、一か八か拳銃で抑えていた。
「お前にそんなことできるのかなぁ~~~?」
ロコの力がさらにかかり、崩れそうになる。
「っ……!」
ロコのナイフを拳銃で跳ね除け、距離を置く。
「僕は、もう昔の僕じゃない…!!」
持っていた拳銃をロコに向ける。
「ははははっ!前、あんなにやられたのに!!昔と変わらないだろ!!?」
ナイフを僕に向けつつ、腹を抱えて笑っていた。
……悔しい、昔と比べられて、悔しい。
”あの時”を思い出すだけで悔し涙が出そうだ。
……でも。
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