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「僕はもう、あなたに負けたりなんかしない。」 ロコを睨みつけ、拳銃を握る手に力を入れる。 目を閉じて、深く深呼吸をする。 意識を集中させ、ゆっくりと目を開く。 「おほっ!やる気満々じゃん!!」 僕は能力を発動しかけていた。 あくまでも発動”しかける”だ。 きっと瞳の瞳孔はスコープの形になっているはずだ。 それが視界に現れ瞳が赤くなったら、目標を捕捉、確実に仕留めることができる。 「よーし、俺も期待に応えてやるよ。」 義足からナイフを複数持ち出し、扇形に持ち構える。 「楽しませてくれよぉ!!?」 その言葉と同時に、ロコが歪んだ笑みを浮かべ僕に向かって複数のナイフを投げつけた。 視界にスコープのマークが現れる。 目標は……投げられたナイフ全て。 拳銃の引き金を引く。 ナイフが弾丸に当たり、そのナイフが投げられたナイフに弾かれ地面に刺さる。 ロコの表情が固まる。 僕は素早く拳銃をホルスターにしまい、ロコに向かって駆け出した。 「!!…っとぉ!?」 呆気に取られていたのか、僕の拳に気付いたのはロコ自身の顔面に届くか届かないかのところだった。 しかし、ロコもやはり手練れだった。 僕の拳はスレスレのところでかわされ、腕を掴まれ思い切り引き寄せられた。 「……たく、太刀筋まで親父譲りかよ?」 「……!!!」 淀んだ瞳が僕を捉える。 「まぁ、親子なんだからぁ?似るのも分かるわな、太刀筋も、それに”その 優しさ”も」 「何言って、」 「お前さぁ、千里の手を汚させないために、自分で自分の手を汚そうとしてんだろ?」
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