3/4
前へ
/22ページ
次へ
「っぅああああああああああ!!!」 一瞬の出来事だった。 僕はすぐさま起き上がり、ロコに向かって走りだした。 ロコはそれに気づき、僕の方を振り向く。 さよなら、僕のお守り。 そう心の中で呟きながらマフラーを握りしめた。 「なにを……!?」 その先の言葉は聞こえなかった。 マフラーをロコの顔面めがけて投げつけたのだ。 首の辺りがやけに寂しかった。 でも、いいんだ、過去にとらわれるのは辞めた。 目の前にスコープのマークが現れる。 確実に、仕留めてみせる。 標的は……ロコただ一人。 僕は拳銃を抜き、ロコに銃口を向ける。 そして引き金を引いた。 銃声が鳴り響く。 その時だった。 右腕に激しい痛みが走る。 「ぐあぁ……っ!!?」 僕は痛みを必死に堪えながら、無我夢中で姉さんのもとに駆け寄る。 何が起きた……? 「三介!!」 姉さんが険しい顔で、僕の右腕をのぞき込む。 僕の右腕にはロコのナイフが3本刺さっていた。 更に言うと、ほかの何箇所かにもかすり傷があった。 ……まさか、何も見えてない状態で攻撃したというのか……!? 「ううぅ……」 当のロコの方を見ると、マフラーは地面に落ち、蹲り右腕を抑えていた。 服の上からでも、抑えている箇所から大量に流血しているのが分かる。 狙いが、逸れた……? 「くそ…どいつもこいつも、右ばっかり狙いやがってよぉおおおお……」 唸り声にも近い声でロコが呟く。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加