雪だけが知っている

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「なぁ、外でたいと思わん?」 足先が凍りそうな寒さの中、俺がわざわざぬくいこたつを放り出してまででた声の主は第一声そう言いはなった 「…思わんなぁ。」 むしろこの寒さのなか外に出たいと思うやつの気が知れん だがあいつは違ったようで向こう側でそっか…と小さく落胆したような呟きが聞こえる 「どっか行きたいとこ在るん?」 「行きたい所いうか、しーちゃんと居たいだけっちゅうか…」 末尾はどんどんと小さくなっていき最後はよく聞こえんくなりながらもあいつにそう言われてしまっては俺も弱い 「あー…どこで待ち合わせしよか?」 「…しーちゃん外出てくれると!?」 「…あぁ、良かよ。」 俺の一言で一喜一憂してる姿は見えずともやはり可愛らしい 家族はまだ寝ているはず 近くの神社で落ち合おうと約束し、そう経たないうちに外へと足を踏み出すと昨日降っていた雨が夜のうちに雪となり降り積もったのだろう そこはいわゆる銀世界となっていて思わず息を飲んだ どうりで寒いはずだと思いながら足元の雪を踏みつける 恐らくこの寒さ故に誰も外に出ていないのだろう 誰に汚されることもなく綺麗な真っ白い雪が一面に広がっていた
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