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「こんなところで何してるんだ?」
「あ・・・・・・、榊君・・・・・・」
「そんな恰好じゃあ風邪ひくぞ、これを羽織ってろ」
「それじゃあ榊君が寒いんじゃあ・・・・・・」
「いいんだよ、お前に風邪でもひかれたら困るからな」
「榊君・・・・・・」
暗い夜の下で月明かりに照らされている二人は、遠くから見れば兄妹、もしくは恋人にしか見えない。
榊に恋をしている少女、美衣は鞄の中に仕舞ってある本命のバレンタインチョコを渡そうと勇気を振り絞る。
「ねえ榊君」
「ん?」
「これ・・・・・・受け取ってくれる?」
「バレンタインチョコ?」
突然美衣からチョコレートを貰った榊は戸惑ったような表情をしたが、それと同時に嬉しそうに微笑んだ。
その微笑は、まるで美衣が榊のことを好きだと気付いているかのような笑みだった。
「ありがとう美衣」
「ど、どういたしまして・・・・・・」
「そんじゃ、今日からよろしくだな」
「っ!! うん!!」
こうして美衣と榊は、月明かりの下で唇を合わせた。
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