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驚愕した僕は言葉が出ない。鮮やかに笑う透子を見ていた。
「ふふふ。驚いた?この姿が本来の私なの。」
ま、眩しい。神々しい。
腰まで届いていた漆黒の髪が、月光を纏い艶かな金髪に変貌を遂げて、キラキラ輝いている。金色の瞳は満月を彷彿させる。高貴で絢爛な煌きを放っていた。
「透明人間と言われる私たちが司るのは月。相対する伊織は銀色ですね?」
(銀色?何が?)
鏡を見るよう促された。
「ギャー!!!」
鏡に映る自分に心底驚いた!!白銀の髪と瞳ッ!!思わず頭を抱え込んだ指先の爪まで銀色に変わっていた。うわぁ、ご丁寧に睫毛まで銀色だぁ。スゲー!!
「さぁ、今宵は新月。始まりの日。私たちの門出に相応しい日です。」
「その前に夕食にしよう。待ちくたびれてお腹が空いたよ。炒飯とスープだけど食べるだろう?」
マイペースな僕に笑顔で頷いた透子。
(あれっ?僕、ドキドキしてる。)
〈ねぇ、私のこと、好きだから?〉
「ひいぃっ!」
脳内に聞こえた透子の声と言葉に、つい叫んでしまうのは許して欲しい。
僕の所作にニコニコしながら、美味しそうに食べる透子は、ちょっぴり幼く見えた。
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