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目が覚めると、自宅に寝ていた。
………あれ?さっき路上でぶつかったよな?
交通事故に巻き込まれたのか?それとも看板や柵にぶつかったのか?だが全身に意識を集中しても、怪我はなさそうだ。
首を傾げながらも、ゆっくりと身を起こした。
しくしくしくしく…
間近で聞こえる。幻聴ではない。路上で気を失う前に聞こえていたすすり泣きが、狭い部屋でリアルに響いてる。
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
(えっ?謝ってる?誰に?)
泣き声がする方向に目を向けた。
「ギャー!!!」
白い着物を着た古風な女がいるっ!!僕をジッと上目遣いで見てるッ!!ゆ、幽霊?苦手なんだけどーーッ?
「女性を前に…しくしく…叫ぶなんて…ひっく………しくしく…ダッサ男に…ひっく。」
(ムッ。ダッサ男って何だよ?)
「ひとり暮しの部屋に他人がいたら、誰でも驚くんじゃないかな?」
しくしくしくしく……ピタッ!!!
泣き声がピタリと止んだ。
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