運命の曲がり角

3/14
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
目が覚めると、自宅に寝ていた。 ………あれ?さっき路上でぶつかったよな? 交通事故に巻き込まれたのか?それとも看板や柵にぶつかったのか?だが全身に意識を集中しても、怪我はなさそうだ。 首を傾げながらも、ゆっくりと身を起こした。 しくしくしくしく… 間近で聞こえる。幻聴ではない。路上で気を失う前に聞こえていたすすり泣きが、狭い部屋でリアルに響いてる。 「ごめんなさい、ごめんなさい。」 (えっ?謝ってる?誰に?) 泣き声がする方向に目を向けた。 「ギャー!!!」 白い着物を着た古風な女がいるっ!!僕をジッと上目遣いで見てるッ!!ゆ、幽霊?苦手なんだけどーーッ? 「女性を前に…しくしく…叫ぶなんて…ひっく………しくしく…ダッサ男に…ひっく。」 (ムッ。ダッサ男って何だよ?) 「ひとり暮しの部屋に他人がいたら、誰でも驚くんじゃないかな?」 しくしくしくしく……ピタッ!!! 泣き声がピタリと止んだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!