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様々な気持ちに揺れ動いていた。
冷静になろうとして、ぐるぐるしてる。只今、思考回路は停滞中。絶賛ループの中にいる。
想像していた話の内容ではない。唐突にライトノベル的な、真実味のない物語とか、小説のプロットを聞いてるみたいだ。
透子は自分で急須を持ち上げて、お茶をおかわりしている。よかった。
「伊織は大学生なんですね?ご家族やお友達はいらっしゃいますか?」
(いやいやいや。そうじゃないよね?)
「透子?」
「なあに?」
「僕のことなんて後で話すし、何でも答えるからちゃんと確認させて欲しい。
さっき僕たちがぶつかったことで、お互いの“珠”が混ざり繋がってしまい、透子の体質が僕にも移ったってコトで間違いないの?」
透子は、ゆっくり首を縦に動かした。
「僕が透明人間になっちゃったってこと?」
ううっ。言葉にするとギャグだ。しかし透子が真顔て、キッパリと頷いた。
「はい。私の伴侶としての伊織は、透明人間の能力を備わっています。
運命の相手にだけは目に映る。直に触れ合い、意志疎通できるといわれます。
普通なら伊織と衝突しても私は空気と同じ。
でも、触れ合えたことで痛みを知りました。
私の運命の相手は伊織だとわかったのです。
巡り逢えた喜びと戸惑いと不安に感極まってしまいました。」
そうか。互いを認識していることが奇跡なんだね。
「だから泣いていたんだね、透子。」
自分の置かれた状況に感情が追い付いてきた。
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