運命の曲がり角

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透子は僕に微笑みかけながら、話を進めていく。 「透明人間は他人から見えません。声も通じない。生命体にはさわれない。 でも雨風は凌げないしお腹も空きます。私たちも人間なのですから。特化した能力は“見えない”だけです。 一部の人は超能力と謳われるような、予知能力や人並外れた身体能力を身に付けた人も、中にはいらっしゃいますけど、根本は特異体質を持つ、ただの人なのです。」 「始めに言ったよね。妖怪って言ってたけど実在するの?」 「はい。妖怪と噂される種族は、親戚みたいなものですよ。日本人と外国人の違いみたいな?」 「えっ?あっさりしてるな。」 「ふふっ。狼男や猫娘、河童や烏天狗など獣人族は“陽の一族”です。 吸血鬼や雪女、透明人間など獣人族以外は“陰の一族”です。 それぞれ自然の理を侵略せず崩壊せず、火、水、土、風、光を司ります。 例えば鎌鼬や烏天狗は風、雪女は氷雪、妖狐や鬼蝙蝠は火、吸血鬼は濃霧を操ります。 透明人間は誰しもが目撃されない。存在が認識出来ないため、希少種族と言われています。」 「で、透明人間は何を操るんだ?」 「伊織、陰の一族は活動時間は夜なの。空が太陽から月に変わってから話すわ。」 目を擦りつつ透子は、さっきまで寝ていた僕のベッドに横たわると、気持ち良さそうに眠ってしまった。
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