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女の子が1人遠望の利く高台の階段に座っている。
彼女の耳に彼女の方へ近寄って来る足音が聞こえた。
振り返った彼女に、近寄って来た足音の主が声をかける。
「ここに居たんだ」
「うん、この夜景を見るのも最後だしね」
彼女は隣に座った男の子にチョコレートを渡す。
「え!?」
「バレンタインの日に渡せないから」
「そっか、ありがとう。
食べていいかい?」
「うん」
男の子は貰ったチョコレートを割り、片方を女の子に渡した。
「ありがとう」
幼いカップルは無言でチョコレートを口の中で溶かす。
2人の頭上では流れ星でも人工衛星でも無い何かが飛び交っていた。
チョコレートを口の中で溶かしながら、2人は互いの目を見つめ固く抱き合い、最初で最後の甘いキスをする。
その時2人の頭上に太陽が出現。
その太陽が生み出した高温の風が、固く抱き合いキスを続けるカップルを飲み込んだ。
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