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「夕飯は?」
「すませました」
「それじゃ一緒にお茶とデザートを――中川さん」
九条さんの鶴の一声で
すぐにテーブルが片付けられて。
「かしこまりました」
中川はすぐさまもう一人分の
ティーカップを温め始めた。
「義弟は我儘で向こう見ずなところが」
「え?」
「無理言ってお誘いしたのでないといいのですが」
これが九条敬の怖いところで
すぐにとりなしてしまうんだ。
「無理だなんて。僕が好きで――」
「そりゃよかった。お兄さん君が好きだって。良かったね、和樹」
たとえ相手が恋敵でも――。
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