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代わりに夕べのうち
彼の部屋から持ち出していた名刺を掲げて見せる。
「一流ゴシップ紙の敏腕記者さん」
「あ、それ……」
キスの代償は大きかったってわけさ。
「名前だけ本物だったんだね、波間風さん」
一流新聞社が
聞いて呆れる。
「僕に近づこうなんて男は曲者ばかり」
僕はあえて
九条さんに向き直り口端を上げた。
「……いつから分かってた?」
「出会ってすぐさ」
僕は天宮家で育った。
はなから誰も
信じちゃいないんだ。
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