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「まずは彼が――」
僕は件の新聞記者を指差すと
「使用人のフリして天宮家に潜入し、あることないこと記事に書く」
ネクタイを巻き上げるようにして言った。
「例えば?」
「例えば――貴恵お姉様と薫お兄様が通じてるとか」
「はあ!?」
「なんだい、君は一番関係ないだろう?」
素っ頓狂な声を上げる拓海を一瞥し
僕は続けた。
「例えば中川が天宮家の財産を使い込んでいるとか」
「坊ちゃま!」
地獄耳の老執事が怒鳴るが気にしない。
「あの人のことだ。お家のこととなったら黙っちゃいないでしょう?」
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