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「僕の検証記事を載せるといいよ」
「君の検証記事だって?」
何を言い出すかと
凪は目を丸くする。
「僕が最近巷で騒がれているとおり――実の兄まで食い物にする魔性かどうか。あなたが身をもって証明するんだ」
「つまり?」
「僕を誘惑してみて」
しっとりとした隠微な空気があたりを包んだ。
「見えてきた僕の本性を記事に――それなら嘘じゃないでしょ?」
まんざらでもない。
「……面白そうだね」
波間風凪は遠慮がちに呟くけれど
その目は爛々と輝いていた。
試してみるんだ。
読者が固唾を飲んで見守るような
記事を読んだ征司お兄様が青ざめて飛んで帰ってくるような。
そんな過激な実証を見せつけてやる――。
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