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oh My【TKG】
最悪だ…この世の終わりだ…。
私は、職場の給湯室の流し台の三角コーナーを凝視した。
そこには、自宅から持参した自然に近い形で飼育された天然地鶏の限定赤玉卵の弾力のある黄身が三日前の生ゴミの上で艶やかな輝きを放ち、魚沼産コシヒカリの米粒艶立つ茶碗の頂上には真っ二つに割れた赤い殻が場違いに鎮座してやがた!
「ガリッツ」
涙が伝う。
おお、神よ!
何故!
何故ですか?
人類繁栄の為に何千時間も不眠不休で働きづめだった私に、やっと訪れた至福をこのような形で断つのですかっっ!?
アハッ。
……いいえ…本当は解っているのです…これは、眠気の余りしでかした自らの罪であることを…けれどもう遅いのです。
卵の黄身が三角コーナーに落ちた時、私の世界は終わりを告げたのですから…。
私は、実験室に立ち戻り『人類滅亡』と注意書きされたボタンにそっと指を乗せた。
「うふふ…35年間…今の今まで人類の為全てを捧げて来ました…それをそれなのに…oh My【TKG】…卵掛け御飯…お前が去った世界など消えてしまえばいい…」
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