最低の人生

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翌朝、俺は執事服に着替えてミリィの部屋に入った。 「起きやがって下さい。学校に遅刻しやがります。」 ちっと舌打ちをするのを忘れない。 「うへへ・・・けぇきぃ・・・。」 俺はミリィをシーツでくるみ風呂場に向かった。 「朝のご入浴の時間でございます。」 そしてそれをそのまま浴槽へとぶち込んだ。 「にゃぁあああああ!!!!!!」 「おはようございます、お時間が押しておりますので早めにご入浴を済ませて下さい。私は脱衣室の外でお待ちしております。」 脱衣所の棚に制服と下着を置いて脱衣室を出る。 30分後、制服に着替えたミリィが脱衣所から出てきた。 押していた時間は恐らくいつも通りの時間に戻ったはずだ。 「それでは朝食のお時間ですので食堂に向かいましょう。」 「その前に、私に何か言うことがあるんじゃないですか?」 「姫様は寝起きが悪く在らせられるご様子、夜更かし等せずに午後9時にはご就寝下さいますよう。」 「そうじゃなくて!」 「はて?他には思い付く事がございません。それよりもパンを咥えて走りたくなければ朝食を済ませて下さい。」 ミリィを食堂に押し込み椅子に座らせてその後ろに立った。 「どうしたのだ?そんなに不機嫌そうな顔をして。」 「タケルさんが、私をす巻きにしてお風呂に投げ込んだんです。」 「本当かね?」 「お時間が押しておりましたので、仕方なく。」 「それに対して謝罪の一つもないんですよ!」 謝罪する意味が解らない。 俺は以前にミリィが決めたというスケジュール通りの時間に書いて有る通りの事をさせただけだ。 「そろそろ登校のお時間です、鞄は先ほど持って来て居りますので、馬車の方へお急ぎください。」 俺はミリィを椅子ごと持ち上げると馬車乗り場まで競歩で歩き出した。 「え?あ!ちょっと待って!私の朝ごはん!!!」 途中で執事室により、自分の朝食を頭に乗せ、ミリィと一緒に馬車に乗り込んだ。 「質素なものではございますが、こちらをお召し上がりください。」 「でも、そうしたらタケルさんの分が・・・。」 「世界樹以外での死に方を模索するために、餓死を実験中でございますので、お気になさらず。」 ミリィはパンを半分にちぎって片方を俺に渡した。 「半分こです。」 俺はパンを受け取ってしばらく眺めた後、食べた。 「硬い。」
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