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執事長の部屋に行くと、挨拶やベッドメイク、紅茶の入れ方や料理などを一通りやらされた。
「これで研修は終了です、タケル殿は本当に優秀ですな。」
「すべては執事長とメイド長のおかげでございます。」
普通に礼をして執事長の部屋を出た。
「さて、時間が余ってしまったな・・・。」
「あら?タケル様、この時間は学校ではないのですか?」
「100日研修と言う物を受けていたのでございます。」
「随分と熟練されていたので、もう数年やっている者かと思っておりました。」
こちらからすればもう100日も働いているのだと思わせる行事だ。
「しかし、タケル様はなぜミリィさんをお風呂に落すんですか?」
「ミリィ様が作ったスケジュールを守らせているに過ぎません。」
「スケジュールですか?」
「はい、6時半起床、その後7時までに入浴、7時半までに朝食を取り学校へ出発、そのようなスケジュール表を私に渡したのです。」
「つまり、そのスケジュール通りの行動をさせるためにミリィさんをお風呂に落していると?」
「普通に起こしたのでは、ご入浴の時間が無くなってしまうのです。」
起こさなければ昼過ぎまで寝ていることも珍しくない。
「やればできる子なのですがね・・・。」
「色々と苦労なさっているのですね・・・。」
「私はこれから国王の執務を手伝う予定なので、失礼します。」
アリサから離れて国王の執務室へ向かう。
「タケルです。」
「入り給え。」
ノックして声を掛けるとすぐに入室許可が下りる。
「失礼します。」
扉を開けて中に入ると国王はお茶を飲んでいた。
「最近は執務が滞る事も無くてね、ほぼ仕事が無いのだよ。」
俺も椅子に座って横に置いてある一枚の紙を手に取った。
「今日の仕事はそれだけだよ。」
署名欄に国王の名前を書いてハンコを押す。
「終わりました。」
「ご苦労様、一緒にお茶でもどうかな?」
「いただきます。」
自分でお茶を淹れて椅子に座り直す。
「100日研修はどうだった?」
「優秀であるという評価をいただきました。」
「そうか、執事は君にとって天職なのかもしれないね。」
「やる限りは完璧を目指すのが性分でして。」
お茶を一口飲んでソーサーにカップを乗せる。
「ミリィ様のご起床だけが完璧ではございません。」
「ははは、そうかい。」
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