100日研修

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翌日、校長が連行されたため、学校は休日となった。 俺はいつものように準備を整えて食堂へ向かう。 途中でアリサ女王に声をかけられた。 「タケル様、おはようございます。」 「はい、おはようございます、王妃様。」 「今日はミリィさんは一緒じゃないのかしら?」 「昼頃まで就寝のご予定でございます。」 「学校は大丈夫なの?」 「先日校長が連行されたので今日は休校でございますね。」 食堂の扉を開けて女王の椅子を引いて座らせる。 「おはようございます。」 「ああ、おはよう。」 「いかがいたしました?お体の具合がよろしくないのでしょうか?」 「いや、ミリィの悲鳴が聞こえない朝は何か気が抜けてしまってね・・・。」 「気にしなくともあと五分くらいで悲鳴が聞けるかと思います。」 「何か仕掛けてきたのかね?」 「滅相もない、今日が休校である事を伝えていないだけでございます。」 「ふやぁああああああああああああ!!!!!」 「中々ひどい事をするね。」 「恐縮でございます。」 「タケルさん!!時間!!遅刻!!!」 「おはようございます、今日は休校なので大丈夫でございます。」 「え?」 「昨日のテロの件で校長がつかまりましたので、本日は休校でございます。」 「昨日の内に伝えておいてください!!」 「申し訳ございません、昨日はいろいろと忙しかったものでついうっかり。」 「タケルさんにしては珍しいミスですね・・・。」 もちろん嘘だ。 そんな凡ミスをする程バカではないつもりだ。 「これを機に、休日にも早起きをする癖を付けてはいかがでしょうか?」 「休みの日くらいはゆっくり眠っていたいのですが・・・。」 「では、次の休みの日からタケル君はミリィの部屋でミリィが起きるまで、寝顔を眺めるのはどうかな?」 「うぇ!?」 「倭国に居た頃に覚えた般若心経でも唱えながら見守ることにしましょう。」 「やめてください、うなされてしまいます。」 「極楽浄土の夢を見るかもしれませんよ?」 なんて言ってもお経は死者の魂を救い、あの世に誘う効果があるのだから。 「せっかく早起きをしたのですから、早く朝食を召し上がって下さい。」 ミリィの椅子を引いて未だ寝間着のミリィを座らせ、その隣に着席する。 「それにしても、タケルさんがうっかりするほど忙しいなんて。」
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