100日研修

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「ああ、忙しかったのは嘘でございます。」 「」 俺の一言でミリィが固まった。 「少々魔導書を読んでいたら深夜になってしまったので、昨夜は諦めたのです。」 「そんなに面白い魔導書があるのかい?私も読んでみたいものだね。」 「この城の地下15階にひっそりと置かれていたものでございます。」 「!?」 「なんでも禁断の魔法だと書かれておりましたね、そこはかとなく命を削られた気もしますし。」 「あの禁書を読んだのかい?」 禁書だったか、あの場所にある時点で気が付いてはいたが。 ま、1ページごとに1年分の命を削られる様な代物だし、仕方がないと言えばそうかもしれない。 「あれを使いこなせれば世界征服も夢とは言い切れませんね。」 「へぇ、そんなにすごい魔法なのかい?」 「あれは人が読めるように作られていなくて幸いでございますよ、あれが簡単に読めてしまったらもうこの世界は終焉を向かておりますね。」 なんて言っても核爆発を引きを超す魔法だ、多用していたら生物がすむことのできない世界が出来上がってしまう。 「それは怖いね、君もその魔法を使うのはやめてくれるかな?」 「力とは手に入れれば使いたくなるものでございます、尤もそれは力のないものに限られます。」 「なるほど、その禁断の魔法を使わなくても君なら夢を実現できるから必要はないと?」 「はい、世界征服程度であればあんな大掛かりな魔法を使わなくても問題ございませんね。」 神や勇者を相手にするには今の自分では少々力不足な気もするが。 「それなら何で禁書に触れたりしたんだい?」 「単純な知的好奇心というやつでございます。」 「君じゃなかったら死んでいたかもしれないね・・・。」 「はい、そう思って元の場所に戻したうえさらに頑丈な結界と入口の扉に認識阻害の魔法をかけておきました。」 おそらく魔王討伐後の勇者程度の魔法耐性がなければ見破ることもできないだろう。 見破れたところで、結界を解除しようとすれば命を落とす可能性もあるが。 「命を張ってまで取りに行くほど得になる魔法ではございませんし、気が付いた時点で諦めて帰っていただけるかと。」 「君が優秀でよかったよ、これで世界は平和だね。」 「そうでございますね、最低でもこの国だけは被害にあうことはありませんね。」 食後のコーヒーを飲みながら頷いた。
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