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「俺が舐めるのかよ!!」
「ほう、存在の前に肉体を消し去ってほしいのか?」
「イエス!サー!」
シェムハザは駆け足で謁見の間を出て行った。
「ところでタケル君、武具の方は作ったのかい?」
「いえ、学生でもなければ武具の魔石は手に入りませんゆえ。」
「そうだったね、では魔石はこちらで用意させてもらうよ、明日の授業で武具の精製と使い魔を召喚するらしいから、君も一緒に武具を作ると良いだろう。」
「ご配慮いたみ入ります。」
できれば誰もいないところで精製したかったが、武具の魔石はいくら国王でも入手はできない。
武具になる前の魔石は学園の外に持ち出すことができない規約がある。
謁見の間を出て、トイレの様子を見に行くと、くそ虫が便器に顔を突っ込んだり離したりしていた。
「何をやっている?」
「い、いや、掃除が終わったから舐めて確認をって思ったんだけど・・・、どうにも決心がつかないんだよなぁ・・・。」
「それは手を抜いたという事だな?全力で掃除をしたのならば自信を持って舐める事ができる筈だろう?」
「ぐっ・・・、やったらぁな!!」
そう言ってくそ虫は便器を一舐めした。
「まさか本当に舐めるとは思っていなかったが、良くやった。」
「舐めるとは思ってなかった!?はぁ!?」
「俺は舐めても大丈夫なくらい綺麗にしろと言っただけだ、その後貴様がふざけた事を言うから冗談を返したまでの事、まさか本当に舐めるとは変態か?」
「ちっげぇよ!あーくそ!ぜってぇ許さねぇ!ぶっ殺す!」
くそ虫の爪が俺の顔を捕らえたがバキンと音を立てて爪が折れた。
「んなぁ!?」
「グラムデイル製の剣ですら薄皮一枚切れない俺にその程度の攻撃が効くか。罰として風呂掃除もやって貰おう、もしくは俺との実戦形式の組手だな。」
「お風呂掃除、喜んで!」
くそ虫は綺麗な敬礼をした後風呂場に走って行った。
俺はくそ虫が舐めた便器を再度掃除しなおしてトイレを後にした。
side in シェムハザ
「あのくそ主、いつか絶対にぶっ殺してやる・・・。」
俺に苦渋もとい便器を舐めさせたあいつを、俺は絶対に許さない。
しかしそれはそれとして、アリサの近くに居られるのは悪くない。
「ショムハザ君、ちょっと良いかな?」
「シェムハザだ!間違えんな!!」
話しかけてきたのは俺の恋敵だった。
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