使い魔と書いて奴隷と読む

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「あ、ああすまない、今後は気を付けるよ。」 「で?何の用だ?俺は見ての通り風呂の掃除で忙しい。」 「アリサの事だよ。」 その言葉に俺は掃除を中断して国王に向き直った。 「私は学生の頃から彼女と一緒だった。」 「それはそれは、ずいぶんと長い付き合いなんだな。」 「ああ、しかし学園を卒業する際に私も彼女も親の決めた結婚相手と結婚する事になってしまった訳だ。」 「まぁ、王族と貴族だし、そんな事も有るだろうよ。」 「そして最近になって再会を果たしてね、彼女の旦那さん、イシュタール王が亡くなられて6年、我が国に君の主が表れて、この島の国を制圧し始めた。圧倒的だったね、一人で出向いて行って、民衆を殺さず、ほぼほぼ無傷で帰ってくるんだ。」 「それがどうしたってのよ?」 「ああ、それでね、タケル君は世界を征服するために新兵器を開発したんだ。直径で1m50Cmもある鉄球を音の速さの三倍で打ち出すと言うとんでもない代物でね、その新兵器開発に協力を申し出てきたのが彼女何だよ。」 「で?」 「ここだけの話だけどね、実は我が国に侵略された国と繋がりのある彼女の国の貴族達が新兵器開発に助力を申し出た彼女を殺そうとしていたんだ。」 よくある話だ、ちっとも珍しくねぇ。 「そこで彼女と私はタケル君にイシュタールを侵略して貰う事にした。まぁ、彼も乗り気だった。」 「なるほど、それとアリサに何の関係があるんだ?」 「ああ、彼女は民衆を殺さずに自国を制圧してくれたタケル君を信頼している、いや、崇拝かもしれないね。もし君がタケル君の下で忠実に働くのであれば、アリサに近づく事も出来るかもしれないという助言をしに来たのさ。」 なんだそりゃ、つまりこいつは敵である俺に塩を送りに来たというのか? そんな事をしてこいつに何の得がある? 「愛する者と別れなければならないと言う気持ちは私にも解るつもりでね、もし諦めないというのなら、今の助言はいずれ役に立つ時が来るかもしれない。」 「つまり何だ?奪えるものなら奪ってみろと、勝者の余裕を見せに来たってことで良いのか?」 「恋愛ってやつは障害があった方が燃えると言うじゃないか、お互いに頑張ろうと言いに来たのさ。」 余計なお世話だ、俺は俺のやり方で彼女をものにして見せる。 「話はそれだけか?だったらさっさと仕事しろよな。」
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