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そう言ってご主人は右手を持ち上げた。
「掃除とはこうやるのですよ。」
パチンッ
ご主人が指を鳴らすと、ご主人を中心に風呂場が新品同様に綺麗になってしまった。
「これで良し、この程度の事に何時間時間をとるつもりなのだ?全く使えない・・・。」
「いやいや、俺浄化とか使えねぇし、堕天使だから。」
「言い訳は見苦しいぞ、明日までに覚えてこい。そのために今日の仕事はもういい、これだけ時間を割いてやるのだから、明日までに習得できていなかったらその羽をもぐぞ・・・。」
ご主人はそう言い残して風呂場を去って行った。
side end くそ虫
「タケルさん、一緒にお茶しませんか?」
風呂場からミリィの部屋への道すがら、中庭でお茶をするモモとミリィに出会った。
「すみませんが、これからミリィ様のお部屋の、箪笥の整理がございますので。」
「た、箪笥!?」
「はい、こちらのお洗濯物を箪笥にしまう作業でございます。」
「な、ななな、なんでタケルさんがやってるんですか!?」
「いつもはモモが担当しているのですが、今日はミリィ様とお茶を飲んでいたものですから、邪魔しちゃ悪いとメイド長が気を利かせたのでございましょう。」
「モモさん!何でお茶を飲んでるんですか!?」
「ひ、姫様が仕事中の私を無理やりここに連れて来たんじゃないですか・・・。」
「はぁ・・・、あれほど他の人の仕事を邪魔しちゃいけないと口を酸っぱくして言っているのに、まだお解りになられないのですか?」
「う・・・。」
とりあえず洗濯物をモモに渡して仕事に戻らせた。
そしてミリィの正面の椅子に座って姿勢を正す。
「良いですかミリィ様、貴女様は我々の主なのですよ、使用人は主の命令に逆らう事は・・・まあ出来なくも無いですが、しようとはしません。」
「はい。」
「なので仕事中といえども、強く迫られたりしたら主の命に従うのが我々なのです。」
まあ、俺は例外中の例外だが。
「特にモモは気が弱く、流されやすい所もございます。ですので「シノブチ様。」はい?」
「あまり姫様を叱らないで上げてくださいね。」
「はぁ・・・あなた方使用人がそうやってミリィ様を甘やかすから、毎朝浴槽にミリィ様を投げ込む事になっているのです。」
「で、ですけど、ミリィ様がお茶に誘ってくれた時は私は休憩時間でしたし・・・。」
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