学校生活

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学園に着き、ミリィを馬車から下して御者には何時に迎えに来るように伝えた。 「あら、ミリィ様、おはようございます。」 「おはよう、今日もすがすがしい朝ね。」 「その人は新しい執事さんかしら?」 「タケル・シノブチと申します。」 丁寧にお辞儀をして歩き始める二人の後ろをついて歩いた。 「少々失礼します。」 教室のドアを開けようとしたミリィを制して俺が先にドアを開けた。 「ミリィ!!!」 ダキッ 「失礼ですが、ミリィ様に何か御用でしょうか?」 「なんだ貴様は!」 「それはこちらの台詞でございます、それからホモを隠す理由としてミリィ様に近寄るのは止めて頂きたい。」 教室内が一瞬シーンとしてそしてざわざわと騒ぎ始めた。 「ち、違うぞ!僕はホモなんかじゃない!!貴様、覚えておけよ!!」 「捨て台詞が負け犬でございます。」 廊下を走り去る変質者を見送り、一歩横にずれて頭を下げる。 「大変お見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした、どうぞお通り下さい。」 「あ、あはは・・・。」 「へぇ・・・。」 ミリィが席に付き、鞄の中身を机の中に移していると、女子生徒が3人ほど集まってきた。 「おはようございます、ミリィ様。」 「今日もご機嫌麗しゅうございますわね。」 「そちらの殿方は、ミリィ様の執事でいらっしゃるのかしら?」 「タケル・シノブチと申します、以後お見知りおきを。」 そこに三人のうちの一人の執事が俺に話しかけてきた。 「新入りくん、お嬢様方にジュースを買って来て下さい。」 俺はミリィにやっちゃっていい?とアイコンタクトを送る。 ミリィはうなずいて答えてくれた。 「てめぇごとき三下様のために使う足はございませんので、自分で買いに行きやがってください。」 丁寧にお辞儀までした。 その場にいた全員が凍り付いたように動かなくなった。 「ちょっ、何でそうなるんですか!?行って来てあげなさいって意味で頷いたのに、さっきの視線もどうすればいいのかって事じゃないんですか?」 「そうでございましたか、私はこの方をやってしまって良いのか?と言う視線を投げかけたつもりでございました。」 「意思の疎通も図れませんの?」 「何分昨日の夕方に雇われた身でございますゆえ。それに、初めての場所を案内もなしに動き回れませんので。」
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