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俺とミリィは魔石を持って優雅にお茶を飲んでいた。
「これが武具の魔石ですか・・・。」
綺麗に透き通った青い石で、中には小さな焔の様な模様が浮かんでいた。
「まるでミリィ様の瞳の様な色の石でございますね。」
「随分と持ち上げますね。」
「自分専用の武具何て、執事である以上絶対に手に入らないであろうと覚悟しておりましたゆえ、多少持ち上げて機嫌を取っておけば、次回以降もこうしてお零れに有りつけるのでは無いかと。」
「そういう本心は隠しておくのが普通です!」
「生涯を共にするパートナーには隠し事をしたくは有りませんので。」
「しょ、生涯のパートナー!?」
「おや?ミリィ様は私とご結婚なさるおつもりなのだと思っておりましたが?」
「そ、そうですけど、急に言われたら驚きますよ!」
解っていてやっているが何か?
「結婚した後も急に国王夫妻とか言われたら驚くつもりでございますか?全く一国の姫がこの程度で狼狽えるとは情けない・・・。」
「だって・・・恥ずかしい・・・。」
「つまり、あなたの婚約者である私は恥ずかしい人間である、と?」
「え?」
「ミリィ様にとっては、私との結婚は恥ずかしい事であるという事でございますね?」
「え?な?」
「こんな私では大手を振って婚約者である事を皆には言えないのでございましょう?」
「ち、ちが・・・。」
「冗談でございます、ですのでそんな悲しそうな顔はおやめ下さい。」
ティーカップをソーサーに戻して膝の上で手を組む。
「私は素直ではございませんので、照れ隠しをしないと、人を褒める事ができないのです。」
テーブルの上に置いた魔石に目を移すと、少しだけ光ったような気がした。
「ミリィ様の瞳の色の方が、綺麗でございますね。」
「急に何ですか?」
「いえ、たまには素直に、と思いまして・・・。」
「何か有ったんですか?」
俺は首を横に振って魔石を手に取り、天に掲げた。
「口説き文句の練習でございます。」
「私を練習台にして誰を口説くつもりですか!?」
「それはもちろん。」
俺はミリィに顔を向けて微笑み魔石を持っていない方の手をミリィに向けて頷いた。
「はうあ!?」
「これも照れ隠しでございます。」
「どっちがですか!?どっちが照れ隠し何ですか!?」
「さて、どちらでございましょうね。」
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