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授業開始の合図があり、俺はテーブルと椅子を折りたたんでカバンにしまった。
学生たちと一緒に並び、周りを見渡してみれば、学生たちは一様に期待と不安が入り混じった顔をしている。中には自信満々でニヤニヤしている者もいるみたいだが。
「ミリィ様、あの男子が召喚の儀式に入ったら私の傍を離れないようにお願いします。」
「え?はい。」
教師の説明が終わり生徒が一人ずつ使い魔を召喚して行く。
様々なモンスターが表れて、生徒達と契約を交わし、仲良く校庭の至る所で和気藹々とじゃれ合う。
「全く迷惑な話でございますね。」
「何がです?」
そしてついに先ほどのにやにやしていた生徒の順番が回ってきた。
「ミリィ様、私の半径1m以内にお控えください。」
俺がそう注意を促すと同時ぐらいに、召喚の陣から黒い光が迸った。
周りからは悲鳴が上がり、生徒たちは散り散りに校庭の隅へと逃げて行く。
「何ですか!?」
「禁忌召喚と言う物でございます。」
「禁忌・・・召喚・・・。」
「はい、通常の召喚では触媒を用いる事は有りませんが、禁忌召喚では触媒を用いて召喚を行います。その触媒のほとんどは血液でございますね。」
「じゃあ、怪我をしている時に召喚するのはダメなんですか?」
「いえ、召喚者の血液であれば問題はないのでございますが、召喚者以外の血液を使用して行った場合は、禁忌召喚となるのです。」
ミリィに禁忌召喚を説明している間にも、召喚陣からいかにも死神と言う出立の何かが現れ始めていた。
「禁忌召喚をするとどうなるんですか?」
「魂を刈り取られます。あのように。」
「俺と契y。」
生徒が何かを言いかけたところで大鎌が振り下ろされて生徒が倒れた。
そしてその召喚陣からは奇妙なモンスターが出現した。
「ミリィ様、絶対に私の傍を離れてはいけませんよ?」
「あれは何ですか!?あんなモンスター見た事無いですよ!?」
「合成獣でございますね、触媒が不純であるとこういう事が起こるのです。」
「ど、どうなるんですか?」
「先ほど死んだ生徒を喰らい、死ぬまで暴れ続けます。」
「どうにかできないんですか!?」
「死体を食べ終わるまではどうにもできません、食事中のあれに手を出してしまえば、あの生徒と同じ運命を辿る事になります。」
せめて丸呑みにしてグロイ事にならない事を祈る。
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