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ミリィの目をふさいで生徒だった物が食われていくのを見守る。
やがて最後の一口を嚥下した所で死神が召喚陣の中に消えて行った。
「全くこれを残していくのは無責任すぎやしませんか、ね!」
そしてそれと同時に合成獣は一番近くにいた俺に襲い掛かってきた。
「タケルさん!」
「ミリィ様はそこから動かないようにお願いします。足手まといなので!」
「心配してる女の子を足手まといとか言わないでください!」
俺は合成獣の首に拳を打ち込み、怯んだ隙に噛み付かれていた腕を引っこ抜く。
「ま、最初の相手に私を選んだのが運の付きでございましょう。」
合成獣の頭に手を置いて頭の中に直接火炎魔法を放つ。
合成獣の顎の下から炎が噴き出して地面を焦がし、合成獣はズズンと音を立てて倒れ、さらさらと砂になって消えて行った。
「はぁ、護衛しながらの戦闘と言う物は精神的に追いやられますね・・・。」
「お、終わったんですか?」
「ええ、もう大丈夫でございますよ。」
俺が結界を解除するとミリィの目から涙が溢れ出した。
「だげりゅざ~ん!!ごわがっだよぉ~!!うわぁぁぁん!!」
「抱き着くのはおやめ下さい、服に涙と鼻水と涎が付着してしまいます。」
「ないでるどぎぐらいやざじぐじでぐだざいよぉ~!!」
俺はため息を一つついてミリィの頭を撫でてやる事にした。
他の生徒や教師たちも集まって来ていると言うのに、ミリィは今だ俺から離れず、他の生徒たちはチラチラと視線を向けてくる。
「あー、今のが禁忌召喚だ、召喚者以外に被害が出なくて良かった、本来ならここにいる全員が犠牲になってしまっていたかも知れないので、絶対にやらないように。」
「それと、召喚には現在の実力はあまり関係なく潜在能力で召喚される事がございますゆえ、もし勝負を挑まれるような事になったら無理に受けたりしないようお願いいたします。」
全員が頷くのを確認して顔がべたべたな姫様に向き直る。
「これで顔をお拭き下さい。」
「はい・・・。」
どうやら落ち着きを取り戻したらしいミリィを組み立てた座らせる。
「さてミリィ様、そろそろミリィ様の順番でございますが、おそらく逆召喚と言う現象が起こると思われます。」
「私がですか!?」
「マキ様の実力を見れば解りますが、ミリィ様の潜在能力ならおそらく天使クラス。」
だと思う。
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