勇者の留学

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「天使!?」 「勝負を挑まれる事はないと思いますが、万が一勝負を挑まれたら破棄して下さい。」 「それじゃ私の使い魔はどうなるんですか?」 「使い魔は一度召喚すればパスが出来上がり、何度召喚しても同じものが現れる仕組みになっておりますので、実力を付けて勝てる見込みができるまではお預けでございます。」 「えー・・・。」 「命に係わる事でございますので、ご了承ください。」 「・・・解りました、私にはどんな使い魔より強い執事さんが居てくれますからね。」 ふふんと鼻を鳴らしてふんぞり返るミリィに苦笑で答えて立ち上がる。 「タリリアント、お前の番だ。」 「じゃあ、行ってきます!」 「逝ってらっしゃいませ。」 「なんか字が違いませんか!?」 フフッと笑いながら手を振って送り出した。 side in ミリィ 「よっす、ミリィ・F・タリリアント。」 召喚を行った瞬間、よく解らない光に包まれた私は、いつの間にか良く解らない場所に立っていた。 そしてやたらと強面のお兄さんに絡まれていた。 「あなたが私の使い魔さんですか?」 「あー、正解であり、誤りでもある、かな?」 「お名前は?」 「ユディって人間界に居た時は呼ばれていた。」 「ちょっとユディ、召喚者がかわいい女の子だからってあんまりあんまり暢気にお喋りしてんじゃないわよって・・・あらら?」 今度は緑色の髪の毛のお姉さんが近寄ってきた。 「ちょっとタクマ!」 「はいはい?ちょっと待ってくれ、ってこら!はだかではしりまわうわぁあああ!!セラまで何ちゅーかっこで追いかけてんだよ!!!」 「はぁ・・・。」 緑色の髪の毛の女性は深いため息をついて額に手を当てた。 「ごめんね今ちょうど子供をお風呂に入れてたところでさ、すぐに来ると思うからそのゴリラと一緒にお茶でも飲んでて。」 「誰がゴリラだ!!」 「あ、あの・・・。」 「ああ、わりぃ、今お茶入れるから待っててくれ。」 「はい・・・。」 怖い顔だけど、案外いい人っぽい? しばらく待っているとユディと呼ばれた怖い顔の人が戻ってきて紅茶を出してくれた。 「どうぞ。」 「いただきます。」 匂いから判断するとこれはアッサムかな? 口に含んだ瞬間、あまりのおいしさに思わず目を見開いた。 「お、その紅茶のおいしさに気が付くとは流石は姫様。」
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