勇者の留学

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「サービスで召喚した後の魔力はこちらで供給するから、召喚しっぱなしって事も出来る。まぁ、俺の嫁だからな、用事が終わったらすぐに帰してくれると嬉しい。」 「ママ、お仕事?」 「ああ、ママはこの人の使い魔になるんだ、人間の世界に降りてこの人の人生をサポートする、とても名誉のある仕事だぞ。」 キルビアと呼ばれていた女性が抱えていた子供を下して私に近づいてきた。 「キルビア・シャイン、光の属性神をやっっている、よろしく頼むぞ!」 そう言って右手を差し出してきた。 私はその右手をとって握手を交わした。 「これで契約は成立だ、用が有る時は呼んでくれ。」 「はい、よろしくお願いします。」 「じゃ、元の世界に返すから、目を閉じて。」 「こうですか?」 「それで良いよ、シノブチ君によろしくな。」 そういわれるのと同時に一瞬の浮遊感が私を襲った。 びっくりして目を開けると私は両腕をまっすぐにのばしたまま召喚陣の前で固まっていた。 「あ、あれ?キルビアさん?」 「何だ?」 とりあえず夢ではなかったようだ。 「お前の精神が神界に居た時間、こっちの世界では時が止まっていた。まぁあの男には気付かれていたようだがな。」 「ミリィ様、お帰りなさいませ。」 タケルさんはそう言って私を抱っこしてくれました。 「お疲れでしょう、こちらの椅子にお座りください。そこのあなたも、一緒にお茶でもいかがです?」 「ふむ、頂こう。」 side out ミリィ 「それでは自己紹介とまいりましょう、私はミリィ様の専属執事をしております、タケル・シノブチと申します、以後お見知りおきを。」 「私はキルビア・シャイン、光の属性神だ。」 「属性神様でございましたか、ミリィ様の潜在能力は私の想像を超えていたようです。」 「ミリィ・F・タリリアントです、この国で一応王女をやってます。」 ぺこりと頭を下げて挨拶をするミリィを横目に俺はキルビアと名乗る女性に顔を向けた。 「その若さで神になるとは、さぞや苦労をなされたでしょうね・・・。」 「ふっ、この姿は私の全盛期の時の物だ、人間だった頃の私は享年87歳、死後夫に召し上げられて属性神になった七光りものだ。」 確かにその言葉には年月を重ねた重みが有った。 もちろん口に出す様なへまはしない。 「夫がよろしくと言っていたぞ。」
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